不動産コンサルタント 大野レポート No.18
タカラ塾
2009年12月27日
『10年ぶりの上海訪問』
私が所属している不動産管理業協会の主催する海外研修視察旅行で、12月7日~9日と上海にいってまいりました。3日間の駆け足の視察研修旅行でしたが、百聞は一見にしかずで大いに得るところがありました。
10年ぶりの上海(10年前に上海で、将来のマンハッタン計画を模型で見た。当時はホテルから1歩出ると、子供達が物乞い纏わりついたが今回は皆無であった。その代わり、大人が偽ブランドを持って纏わり付いた。)は、予想以上の変貌を遂げており、来年2010年5月開幕の万国博覧会に向けて建築ラッシュ(日ごろから空気が悪いのに輪をかけて悪かった。)でした。
完成分譲マンションの現場(床面積が150~200㎡で、価格は日本円で6,000~7,000万円する。中国はスケルトン販売で購入者が設備や内装工事を行う。しかも即日完売である。80%が投資家が購入しているとの説明を受けた。設備等では、日本製は積水の床暖房とTOTOの浴室や洗面ぐらいで、他の設備等はドイツ製、イタリア製、アメリカ製でした。)を見たり、郊外の一戸建分譲現場(こちらも日本円で、5,000~6,000万円する。)を見学した。
一番の目的で、見学にいった建築資材の売り市場で、いろいろな資材や設備を見て回りましたが、価格的には安くても、そこそこの数量をコンテナで日本に運ぶ場合、サイズの違いやコストの点で難しいと判断しました。(現地の情報によると、ちなみに日本国内家具販売トップのニトリは、中国の工場をほとんどベトナムに移転したとのことでした。)
3日目に、上海の中心繁華街(南京路)でデパートやショッピング街を見て回りました。大阪の難波、心斎橋の数倍の広さで、どこもものすごい人々(中国の地方からの観光客、欧米、中近東、日本からの観光客等々)であふれていました。又、3日目に第2上海国際空港に向かうのに、車で1時間かかる場所から、ガイドの薦めでリニャ列車に乗りました。なんと最高速度時速431キロで、たった7分で第2上海国際空港に到着したのには驚きました。帰国間際に、その優秀な現地ガイド(彼は何度も中国人を伴ない日本を観光ガイドとして訪問している。)曰く、現在の日本の東京、大阪は上海の3~5年後の姿であると予言、予想しました。
そのことを、今回の旅行に共に行動したメンバーと論議(万博1年後に再度上海を訪問し、日本と比較判断すると理解できるのではないか。)したり、ずっと日本に帰るまで熟慮した結果、私なりに以下のように2つの答えを出しました。
答えの一つは、現在の上海はバブル経済進行中(かなりの投資、投機マネーが流入。)であり、まもなく(数年後)バブルが崩壊するであろう。(日本はバブル崩壊後、失われた10年を経験。)
もう一つの答えは、うまくバブルを縮小しながらソフトランディングし、特に遅れているインフラ(道路、上下水道…上水道は飲めたものでなく、飲料用はずっとペットボトル購入し飲んでいた、環境問題…排ガス規制や省エネ)を整備し、日本以上の格差社会を是正し、それなりの民主主義(人権問題、民族問題の解決含む)を発展させることができるのかどうか、ではないかと考えました。
それにしても、あのムンムンとエネルギシュな上海から夜20時30分に関西国際空港に着き、リムジンバスで上本町にたどり着いたとき、この大阪の静かさ、沈滞ムードはなにか?このあまりのギャップ落差はなんだろうと感じざるを得ませんでした。
タカラ塾塾長 大野 哲弘