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不動産コンサルタント 大野レポート No.17
タカラ塾
2009年10月25日
『静かなる決断的選択…政権交代』
 2009年8月30日の衆院議員総選挙において、政権与党であった自民党と公明党が大敗し、民主党が308議席を獲得し、圧勝しました。

 今回の総選挙は政権交代を引き起こした歴史的な選挙であるといえます。国民は、民主党の政策に投票した人が約30%とするなら、残る70%の票は、今までの自民党的なる政治に対して拒絶を現わす投票行為であったといえます。

 民主党大勝と民主党政権の誕生は、新自由主義体制に対する怒りと変革を求める声を力にしたことは間違いありませんが、それと同時に、矛盾を糊塗しながら新自由主義体制を維持するための保守二大政党制へと向かおうとする正反対の力があり、その二つの合流として起こったと分析できると思われる。

 結論的に言えば、構造改革政治打破の動きは、民主党の一人勝ちという形で表れ、反構造改革・反新自由主義勢力全体の増大にはなっていない。その意味では今回の選挙は、新自由主義転換の第一歩にすぎません。それが第二歩に進めることになるのか、それとも保守二大政党制の枠内で再び自民へ票が揺れ戻ることになるのかは、今後の状況にかかっているといえます。

 「脱官僚」の看板を上げて登場した民主党政権ですが、95兆円に迫る予算(史上最大規模)規模(税収大幅減のため赤字国債50兆円の発行)や、10月21日発表された西川郵政社長辞任後、日本郵政の次期社長に元大蔵事務次官の斉藤次郎氏が内定した、という報道を見ていますと、国民に対しては、国土交通省や厚生労働省等で「ムダ」な事業を中止や削除する中で、財務省は聖域のままで焼け太りではないかという疑問を払拭することはできません。

 今の民主党政権には、構造改革をストップさせ、新自由主義に抵抗する大きな要求が流れ込んでいるという側面があるわけですが、それを巻き返し、別な方向へ勧めていくという流れも強くあるわけです。今後の日本の政治を考えた場合、新自由主義が第一義的に転換し、反自由主義の政治が始まると楽観視はできませんが、むしろ新自由主義の政治か、反新自由主義の政治かをめぐる非常に激しい戦い(亀井金融相の3年間モラトリム案の提案…融資返済猶予や反郵政民営化案)が始まっているといえるかもしれません。…(新自由主義的なるものからのゆり戻し的反動と、民主党は透明公開をすすめているというが、過渡期ということと野党自民党の力の弱さゆえ、争点が見えにくい。)

 今回の劇的な政権交代で、果たして日本のデモクラシーは進歩し、新しい精神を持った日本人が誕生するのだろうか。むしろ専制に向かっているのだろうか。そう遠くない将来にそのあたりの姿はみえてくるでしょうが、われわれ国民(市民)としては、静かなる選択的決断(政権交代を生む)をしたので、そこらあたりをしっかりと確認チエックをし、われわれ自身もmust change変わらなければならないといえるのではないでしょうか。

タカラ塾塾長    大野 哲弘

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