不動産コンサルタント 大野レポート No.06
タカラ塾
2001年11月24日
現場の流れと意識の改革
先月ぐらいから弊社への来店客が増えています。賃貸のお客様は以下の3通りのパターンが多くなっています。
1) 現在の家賃から20%前後下げた物件を探しているお客様。(例:月額20万円から15万円に・・月額15万円から10万円~11万円に)
2) 現在住まわれてる分譲中古マンションを売却(損切りをカバーできるお客様)して賃貸へ移られるお客様。
3) 勤務先のリストラに伴い独立の為、店舗・事務所を探されてるお客様。売上減のため現在借りている事務所から30%~40%家賃の安いところへ事務所を縮小されるお客様。
こういった現場での動きから現在最も多いトラブルの相談が、保証金解約引きと解約予告の問題です。入居者は入居の契約の際、ほとんど契約書を読まずに又仲介業者からキチンと説明を受けずに(これは推測ですが)入居しておられ、いざ退去の時にもめたりトラブルになるケースが多くなっているようです。
実際に受けた相談のひとつは、事務所の解約のトラブルでほとんど読まずに契約書に署名捺印されていて、なんと保証金(月額家賃の6倍)が全額引きの0返還と予告が6ヶ月前そして原状回復(これは賃借人が自費で行っていた)項目となっており、思わず私も契約書を読み目を疑った次第です。この借主さんは、訴訟も辞さない覚悟を決められたが話し合いで解決されました。
今ひとつは、居住用マンションの解約予告の件で、2ヶ月前となっていたが10月5日に予告したが翌年の1月末までの家賃を要求されたケースである。
ちなみに弊社の契約書は、1ヶ月前予告でこのように5日過ぎたケースでも日割の5日分しか請求しません。天王寺区は確かに環境もいいし、高い家賃でも今までは入居してくれましたが、あまりにもそういった長きよき時代が続いた為、家主さん側の意識の改革が遅れているようです。
しかしながら、時代の変化に柔軟に対応し、お客様のニーズに適確に答えられる賃貸経営をする必要が今求められています。
そして、家主さんの高齢化に伴い供給者の論理から消費者の論理に舵を切りつつ同時に後継者を育成することが急務となっています。又、そういった大きな時代の変化を先取りしながら前向きに新しい不動産賃貸管理や仲介のノウハウを勉強し実践していく倫理観・道徳観のある不動産業者の到来こそ愁眉の問題であると思います。
残念ながら、現実は長年の商習慣が染み付いており、又業界の中は2極化が進み、業者の意識改革が起こる前に(一部起こりつつある)淘汰の波が一気に押し寄せています。生き残りをかけた厳しい選別が起こりつつあると実感している今日この頃です。
タカラ塾塾長 大野 哲弘